僕らのはなし。①
それは勿論伊崎のもので、そっちに視線を移すと、何故か制服を着ている伊崎が真剣な表情でこっちに向かってきていた。
伊崎だけじゃなく、伊崎の後ろに立っていた2人もちゃんと制服を着ていた。
一体、どういう事??
「お前ら、こいつに何してる?」
「伊崎様!違うんです。」
「大変なんです!!」
「これ見てください!!」
急いでこっちに来て、怒鳴った伊崎にそう訴える女達。
「ダメ!!」
私はそれを見られたくなくて、掲示板の前に立って腕を広げて隠した。
でも、伊崎に押し退けられて、結局見られた。
「伊崎様!
この女はとんでもない悪女ですわ!!」
「伊崎様を弄んでたって事ですよね?」
「私達はそれが許せなくて。」
「見ないで。」
「…どういう事だ?」
女達が伊崎に食い下がってるのも無視で、呆然と写真を見ている伊崎と掲示板の間に入ってまた隠す私に、伊崎がそう聞いてきた。
「違う!
違うから!!
何かおかしいの!!
私も何がどうなってるのか分かんないの!!」
「はぁ?
分からない??
そんなわけねぇだろ。
これ、お前だよな?
どうしたらこんな事になんだよ??
お前は簡単に男と関係持ったり、その程度の女だったのか?」
必死に訴えたけど、もうハナっから聞いてないようで、胸ぐらを掴まれそう言われ突き放された。
その事に何か内心ショックを受け、涙が溢れてくるのを何とか流れないように堪える。
「はぁ…アンタが信じる信じないは関係ないけど、私は何も知らないの。
分かってくれないならいい。」
そう言うと、もう隠すのは諦めてラウンジから出た。
誰もいない通路を歩きながら、静かに涙を流した。