僕らのはなし。①
「やっぱりアンタ達、常識知らずのクソ野郎どもだわ。
分かった。
やりたいなら、とことんやりなさいよ!!」
何か危機感も感じたけど、何とか立ち上がりコイツらに負けたくなくてそう叫んだ。
「攻撃開始ー!!」
誰かがふざけた口調でそう大声で言うと、皆一斉に水風船を投げつけたり、小麦粉をぶっかけたりしてきた。
助けて!誰か。
私は腕で防御しながら、心の中で来ない助けを求める。
けど、助けなんて来ない事分かってる。
だってあの人はもう居ないから。
今まで何度も私の事を守ってくれた人の事を想いながら、自分に言い聞かせる。
その間もやまない攻撃。
消火器をまかれた。
人に向かって出さないって注意書きも見れないくらい頭が悪いの?
消火器が必要なのは私じゃない。
アンタ達が火をつけた私の自転車よ。
そう思っても言う余裕はない。
だって、凄い身体中痛いし、息苦しくて立っていられなくなった。
お願い。
誰か、助けて。
必死に意識を繋ぎ止め、そう願っていたら周りが静かになって、ある男の声が聞こえてきた。
「お前ら、誰に許可を得てコイツに手ぇ出してんだ?
失せろ!!」
そう叫びながらいつの間にかやって来て、私の周りに群がっていた生徒達の中の男子生徒達を殴ったり投げ飛ばしていた。
「伊崎。」
その人は言うまでもなく伊崎で、少し驚きと安堵が私の中に生まれた。
「ごめん。
俺が悪かった。」
そう言って、私を抱き締めるとそのままお姫様抱っこをして歩き出した。
「私は悪くない。
私のせいじゃない。」
「もう良いから…黙ってろ。」
「…信じてないんでしょ?」
「信じてる。
ちゃんと信じるから。」
その言葉を聞いて、涙が出てきた。