僕らのはなし。①


ー純sideー

折角アイツの為にちゃんと制服を着て、登校してみたらまた問題が起きてた。

しかも、下着姿で男と2ショット。

何なんだよ。
お前もその程度の女なのか?
お前は違うと思ったのに。


星野が何と言っても聞き入れず、ただただ絶望感が押し寄せ、去っていく星野を引き留める事すらしなかった。

それから、物をぶっ壊したり、人に当たったり、車をかなりスピードを出して走らせたりした。


心を静める為に居合いをしていると、後ろに人の気配がして、威嚇するように振りソイツの首筋に寸止めで突き付ける。

見てみると、見覚えのある女だった。
確か…コイツは、学園で星野とよく一緒に居るのを見かけた奴。


「何か用か?」
「私、信じられなくて。
明日私と一緒にあの写真が撮られた部屋に来てくれませんか??」
女は特に怖じ気づいた風もなく、真剣にそう言った。

普通なら乗ったりしない。
けど、俺も知りたかったのかもしれない。

女が差し出した例の部屋のカードキー。



翌日…星野と会わなくなって、1日経った今日。
約束の時間に例の部屋を訪れた。

部屋は既に従業員の手によって綺麗に清掃されていたが、ベッドの上には一昨日にも見た写真がたくさん置いてあった。

堪らず写真をメチャクチャに破り捨てる。


「苦しまないで!
湊、酷い。
あんな子の為に貴方が苦しまないで。」
女はそう言って、後ろから抱きついてきた。

でも、おかしいとそこで気づく。

「はぁ?
お前何言ってんだ??」
俺は不審に思って、ソイツを引き剥がしてそういった。

「私は…貴方が可哀想で。」
「なぁ…星野はお前のダチだろ?
だけど、お前はハナっから信じてすらないように見える。
お前の方が信じらんねぇ。」
「どうして?
どうして私じゃないの?」
部屋を出ようとする俺に、後ろからそんな言葉が投げ掛けられたけど、答える気にもならなくてそのまま出てきた。

その脚でまだアイツが居るであろう学園に車に乗って急がせた。


その間、俺はアイツの言葉を思い返してみる。
必死に否定してたのに信じてやるどころか、事情を聞いてやる事すらしなかった。


案の定、生徒達に傷つけられてたアイツ。

とことん生徒達を痛めつけると、アイツを抱き締めた。
華奢な身体にも小さな顔にも傷をたくさんつけてて、こうなる事を分かってて、コイツを守らなかった自分に腹が立った。



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