僕らのはなし。①
それから数日後…伊崎は驚きのスピードで怪我も回復し、退院した。
制服とか鞄とかが病室に届いた時にはかなり呆れたけど。
まぁ、助かるので自転車までもらってしまった。
退院した脚で何故か家に来た奴は、私の両親に挨拶と今回の無断外泊の数々を詫びた。
てか、謝ってるのに何でこんな偉そうなの?
一人だけ椅子に座ってるし土足だし。
家族は床に座ってるのに。
ちゃっかり家の朝御飯まで食べて帰っていった。
両親もマコも終始恐縮していて、帰ってからは伊崎の事をかなり興奮気味に話していた。
あの事件の後…休日が上手く続いて、久々に学校に行くと、何かまた学園が騒がしかった。
「あっ、来た来た!!」
「ちょっと見てよ、これ!!」
またあの女子3人に登校早々に連れてかれたのはカフェラウンジで、電子掲示板には花の昔の写真と今の写真が並んで映ってた。
「貴女も大変だったわね。」
「ほんと怖い。」
「てか、私がこんなだったら自殺する。」
「でも、手術1回したら懲りるだろうに。
何回も繰り返して。
それだけやれば、誰でも美人になれるわよ。」
皆勝手にそれぞれ花の悪口を言っていた。
変わり身の速さと調子の良さに呆れる。
「いい加減にしなよ。
あんた達、人の事言えるわけ?
その目、鼻、胸とか…あんた達もいじってんでしょ??
美貌をお金で買って何が悪いの??
花だって彼女なりに苦しんで、そうしたの。
誰も彼女の事悪く言う資格なんてない!!」
それだけ皆に言うと、私はカフェラウンジから出ようとした。
私の前に花が立つ。
「湊…。」
バッチーン!!
何か言う前に一発思いっきり頬を叩いた。
「勘違いしないで。
許した訳じゃないから。」
それだけ言って、彼女の前から去った。