僕らのはなし。①
10.旅行と問題。
それから数日が経ち、7月3回目の休日…私はかなり不機嫌だった。
何故かって?
今朝バイトに行く為に家を出ると、伊崎が居た。
まだそこまでは許せる範囲でここからが問題なのだ。
「えっ、何でアンタが此処に?」
「ちょっと連れてきたいとこがあって迎えに来た。」
「はぁ?
今日はバイトだからそんな急に言われても。」
「良いから行くぞ。」
そう言って、私の予定を完全に無視して連れてかれたのはまず伊崎財閥が経営してるであろうデパート。
何を企んでるのか分からないまま、腕を引かれ中に入っていって、偉い人っぽい男の人が止めるのも聞かずに、売り物のハイヒールを片方掴むと、非常ベルの前に行って、思いきり押したというか、ベルを潰したのだ。
まだ、買い物中のお客さんがたくさん居たのに。
頭がおかしくなったのかと思った。
お客さんが全員慌てたように出ていくと、伊崎は満足そうな顔をして、買い物を始めた。
まず何故かキャリーケースを買って、次に有名なブランドショップに入って、洋服をいくつか試着させられ、水着とか靴も帽子も全部あいつセレクト。
何なの、一体?
やっと買い物終了で車に乗せられ、バイト先に送ってくれるのかと思いきや、違った。