リストカット少女
お父さん
私には、40歳くらいの父親がいた。
職業はトラックの運転手。
だから、家に居ることは
あまりなかった。

でも、帰ってくると
『ただいま』と笑顔で
玄関に入ってくる。

‥これは、嘘の父親だ。


父親と母親、私、弟、姉で
夕ご飯を食べる。
父親は、ご飯を食べながら
成年向け男子雑誌を見る。

私たちは、無言で食べる。

父親は、ろくに食べずに
ごちそうさまをする。
その後に母親に
『おーい、酒持ってこい』と
命令をする。

一杯、二杯‥とペース良く
飲んでいく父親。
だんだん酔ってきたみたいだ。


‥─ボコッ!!

父親は、酒癖が悪い。
酒を飲む度に暴れて、私たちを殴る。
母親は、必死に私たちを助けようとする。
けど、男の力には勝てない。

殴られ、蹴られ、暴言を吐かれて。

こんなのが毎日続いた。




そして‥‥私は、
初めて左手に傷をつけた。
痛いって感情は、なかった。




─私のリストカットは
ここから始まった‥─



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