浮気男に逆襲を![番外編集]
しかしさすがにそろそろ可哀想になってきたので、あたしは「言いたくなければ別にいいよ」と苦笑しつつ踵を返した。
隣で待機してた先輩の手を引き、気を取り直して思う存分遊びましょー!的なノリでずんずん歩き出す。
すると──くいっ。
「ん?」
いきなり後ろから服の裾を引っ張られ、ピタリと足が止まった。
振り返ると、真っ赤な顔で睨むようにあたしを見ている新カノさんのお姿が。
えーと……一体何なんでしょうこれは。
雛鳥かキミは。
「……ぅ」
ボソッと何かを呟く彼女。
聞き取れなくて首を傾げると、新カノさんは顔から湯気を放出してヤケクソ気味に叫んだ。
「ありがとうって言ってんのよっ! 一回で聞き取りなさい、このストーカー娘!」
ぶはっ。
シーンと静まり返った (シラケたとも言う) 異様な空間に、赤髪美男子の笑い声だけが響く。
うん。カオスだ。それも超ド級の。
心なしか、アホーアホーというカラスの鳴き声が聞こえてくるよ。