詐欺師の恋
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午前のノッテ・ディ・ルーナ。
「空生さ、制服置きっぱなしだけど、いいの?」
二階のスタッフルームのソファに仰向けになっていると、燈真が入ってきて紙袋を差し出した。
「もう要らない。捨てといて。」
その紙袋を無気力な目で見つめてから、空生は顔を背ける。
「要らない、って…お前まだ卒業してないだろ?就活はどうしたよ?」
驚く燈真に、空生は何も言わない。
「ここんとこ、お前変だぜ?どっかにふらふらと出て行ったと思ったら血だらけで帰ってきたり。どうしたんだよ?」
「…燈真さ、俺のこと、知ってる?」
唐突にされた質問に、燈真は返答に詰まった。
「…何言ってんの、今更。当たり前だろ。」
「そうじゃなくて」
言いながら、空生は上半身だけ起き上がる。
「俺の事、ネットかなんかで調べたこと、ある?」
茶色の瞳に、一瞬全て見透かされたような気がした。
が、なんとか、平静を装う。