詐欺師の恋
「何言って…」
空生は半分笑い掛けて、燈真を見る。
が、燈真の真剣な顔に、吊り上っていた口角が元に戻った。
「できるわけない。死んでるのに。」
「母親は馬鹿な女だったんだろ?なら、馬鹿な女は皆母親だ。男に全部貢いでくれる。愛されても居ないのに。」
言いながら、燈真は空生の横に腰掛ける。
「空生はそのせいで、苦しんでるんだ。その権利はあるだろ?」
悪魔の、囁き。
「それが、お前の生きる意味、だ。」
窓のない、部屋。
訪れる、静寂。
「俺も協力するから。」
どんなに目を凝らしても、一筋の光も見えはしない。
けれど、光を知らない者は、闇に気付くことなく。
深い闇を、光と間違えてしまう。