詐欺師の恋
「言われて、はっとした。確かに俺は先輩達を利用したけど、それについては悪いなんて思わなかった。けど…同時に櫻田も騙してるんだなって。そしたら、自分のしてることは、何なんだろうって。」




言いながら、藤代くんの目がまたうろうろと彷徨い始める。




「一体何が正しいか、わからなくなって。最終的にはあの人の言いなりになってる自分がいて。。自分で判断することをやめて、後も先も考えてなかった。ほんと、、ごめん。。。」




「もう、いいってば。」



再び頭を下げた藤代くんに、私はぶんぶんと手を振った。




「あ、やべ。」




そこへ、携帯が鳴り響き、藤代くんが慌てて切る。






「中途半端で悪いんだけど…もう、行かないと。また、来るから。」




「あ、うん。忙しいのに、来てくれてありがとう。」


けれど。



急いでジャケットを羽織って立ち上がった藤代くんの動きが、急にピタリと止まる。




「?どうしたの??」





不思議に思って、訊ねると、藤代くんは罰が悪そうな顔をした。






「あのさ…、実はずっとひっかかってることがあって…こんなんで罪滅ぼしになる、とかチャラになる、とかは思わないけど……もしも、櫻田さえ良かったら―」




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