詐欺師の恋
同じ部屋の患者さん達も。


直ぐ傍にいる筈の看護師さんも。




多分、こんな大声を出している病人の私を、あんぐりと口を開けて見ているんだろうけど。




残念ながら、私は必死なので。


振り返る余裕も、気遣う気持ちも、これっぽっちもありません。





でもお願いはあります。



邪魔をしないで。





「貴方がこないだ私に言ったことは、信じませんから!!!!」





伝えたいことを、伝えさせて。





零でも、他の誰でもなく。




「私は、【空生】が言った事を信じてますっ!!!」




何にも染まらない、空生を、信じてる。




「私、期待していいですかっ!?貴方がまだ、私のことを好きになる可能性があるって、思ってていいですかっ!?」





往生際が悪いと言われても良い。




「待ってても、良いですか?!」




私はあの二輪のバラに賭けたい。
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