今日から俺の妹な。
「凛ちゃん?」



「ハッ」



気づけばカチャリという音とともに奈々美先輩は部屋をあとにしていた。



二人きりになった部屋からは途端に音が減った。



「最近凛ちゃんは、よくぼーっとしちゃうことが多いよね」



’’ 凛ちゃん ’’ 。



たった呼び名が変わった、それだけで妙に安心している自分。



反応しない私をよそに先輩は続ける。



「あ、そういえば旧図書室で会ったときも立ち尽くしてたよね、ちょっと間



抜けな顔して」



どうして今、あの時のことを話すの。



私たちの全てが始まった、あの時間を。



クスクスと笑う先輩の顔に反して、私の表情は険しくなっていく。



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