今日から俺の妹な。
カチャリ。



ドアを開けると、少し湿った空気が体を覆う。



一歩踏み出し中に入ると、思った通り、そこには誰もいなくてシンと静まり



返っていた。



窓と屋根裏から入る柔らかな日差しを浴びて、キラキラと光るのが眩しくて



目を細めた。



今日も何となく来てみると、ここだけ世界から隔離されているような、不思



議な感覚に陥る。



この感覚…。



一番落ち着く雰囲気だ。



自分だけが他の人とは違う世界にいる。



けれど、私だけを包むその世界は、外の喧騒なんかと比べ物にならないくら



い、静かで柔らかく、暖かい。



そんな感覚に私は安心感を持つ。


     (っ)
ふー、と息を吐きながら、ゆらりと踏み出し、いつもと同じように窓際に置



かれている席に着こうとして、本棚を横切る。



…視線を向けた先に広がっている光景を見て、



心臓がドクンッと音をたてた。


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