今日から俺の妹な。
「ふふっ」



いきなり聞こえた微笑に再び顔を上げるとさっきまでの違和感は消え、いつ



もの時間に巻き戻される。



その空気の変わりように戸惑いを覚える。



何を、見落とした?



どうして、こんなに私を惑わすの?



「泣き止んだ」



「えっ」



困惑した表情のまま、彼は優しい笑顔でそう告げる。



やっぱりわからない。



がらりと変わる空気も、こんなに優しい笑顔も。



何一つ知らない。何一つ掴めていない。



知らないんだ、彼のこと。一つも。



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