今日から俺の妹な。
この人、いちいち動作が綺麗すぎる。



そりゃまあ、…だもんね。



そして彼は、その笑顔を湛えたまま、再度私に話しかけた。



「でさ、凛ちゃん」



凛ちゃん…。



とても軽々しく名前で呼ばれたわね…。



うん、まあいいけど。



言った張本人は、私の思考などお構いなしに言葉を続ける。



「とても大切な話なんだけど、いいかな」



その問いかけにコクリと頷く。



大切な話?



ゴクリと唾を飲む。



その間にも、彼の顔は私の耳元へと近づく。



「あのね、実は…」



すっと距離を詰め、耳元へと口を近づけたその唇から紡がれた言葉は、心臓



の音に邪魔されることなく、私の脳に刻み込まれた。


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