今日から俺の妹な。
「…っ…んで!?なんでこんなことすんだよ?!」



「…っ!!」



「寂しいなら、泣けばいいじゃねーか。泣き叫んで、助けて、って。言え



よ。頼むから、自分で自分を殺そうとなんて、すんなよ…」



背中越しに響く声に、意味もなく世界が揺れた。



揺れて、溢れて。



溺れそうになって目の端に追いやれば、頬が濡れる感覚と同時に、また世界



が揺れる。



何度も何度もそれを繰り返して呼吸が苦しくなったとき、ぐらりと傾いた体



が、誰かにキツく抱き締められた。



鼻腔をくすぐるその香りは、いつかの教室で嗅いだ香り。



ミルクブラウンの髪がふわふわ揺れる、あの彼の香りだった。
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