Baby boo!
「お待たせしました~、こちらにゃんにゃんバーグになりまぁす」
そう言ってまたもや可愛らしくデコレーションされたハンバーグがテーブルの上に置かれた。
「それでは~、「……あの、それやらなくて大丈夫です」
魔法とやらが始まる前に、少し遠慮がちにそう言った。
するとたちまちメイドさんが、不安げに俺の顔をじっと見つめてきた。
「ご主人様さまっ、何か気に障る点があったでしょうかっ?」
「い、いや」
そうぐいっと詰め寄られ、思わずたじろぐ。
そのメイドに聞こえないように水嶋が、あーあと小声で俺に漏らした。
「ほら、先輩がそんなこと言うから」
「だってあんな真似できる訳ないだろ」
そう小声で反論する。
そうだ、あんな難易度の高い魔法は到底俺には唱えられない。
じっと心配そうに見つめてくるメイドさんに、俺はにこっと微笑んだ。
「すいません。毎回やってたら、大変だろうから遠慮させてもらったんです」
よしこれで大人しく去ってくれるだろう。
ほっと胸をなでおろしていると、メイドさんから甲高い声で思わぬ言葉が飛んできた。
「そんなっ、お気遣いありがとうございますっ、しかし最後の仕上げは欠かせません!」
「……え?」
「それでは、ご主人様ご一緒によろしいですかっ?」
……い、いや、よろしくないです。
自分でも顔が青ざめていくのが分かった。
「ははは、今日来て良かった。こんな、先輩の姿見れるなんて」
横で腹を抱えながら笑う水嶋を横目できっと睨む。