Baby boo!


でも、一体どうしてメイド喫茶なんか。
彰人さんの趣味ではないだろうし。

まさか、私がここで働いてることバレた!?もしかして金返せって言いに来たのかなっ。


「4番テーブルお願いしまーす」

そう言って厨房からジュースが出てきた。近くにいながらも素知らぬフリをしようとしたところ、さっきから激おこぷんぷん丸なぷりん先輩に睨まれた。

仕方なく運ぶことに。
両手でプレートを持ち、テーブルへ。

……ん?
待って、今何番テーブルって言った?

って、4番!?

だめ、だめ!
彰人さんのテーブルじゃない!

他の子に頼もうと振り返ると、やっぱりぷりん先輩が監視していた。
いつにもまして私の行動がおかしいからか、彼女の目が厳しい。

行くしかない、今戻ったら彼女の怒りはぷんぷん丸なんて可愛いもんじゃなくなる気がする。

なるべく顔を上げないように、テーブルへボソッと飲み物の名前を言って置いた。
魔法はなしだ、置いたらすぐトイレに駆け込んでぷんすか先輩には我慢できませんでしたと言い訳しよう。

そして振り返って逃げようとした時、運悪く呼び止められてしまった。


「あ、いちごちゃん!」

彰人さんと一緒に来た人が、まるで見つけたとでも言うように私のネームプレートを見て指差す。


「仁菜っ」

すると私の顔を確認して驚いたように名前を呼ぶ彰人さん。

……あぁ、とうとうバレてしまった。
昨日喧嘩した後ろめたさと、この格好を見られたという恥ずかしさで思わず口ごもる。

彰人さんの方もなんと切り出そうか悩んでいるのか、なかなか次の言葉が出てこない様子。

そんな私たちの気まずい空気の中、1人だけ私に熱い視線を送る空気が読めない人がいた。


「か、可愛い……っ!」

そう言って、私の手をひしっと両手で握るその人。

「え?」

「は?」

思わず聞き返してしまう私と彰人さん。


「君、ルリルリに似てるって言われないっ?」

……なんだろルリルリって。
アイドルか何かだろうか?


< 39 / 78 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop