Baby boo!
「……でも、怒ってるんじゃ」
「いや、よくよく考えたら俺もちゃんと理由聞かなかったし」
……あぁ、そうだな。
私もちゃんと話してない。
「すいません、実は新聞の集金が来て……」
彰人さんの財布から払った、としゅんとしながら話すと、彰人さんが目を見張った。
「なんでそれを言わないんだよ。……って、その前に俺がちゃんと聞く耳持ってなかったか。……ごめ、」
「あ、謝らないでください……っ!」
慌てて、彰人さんの謝罪の言葉を遮る。
この話にはまだ続きがあるのだ。
「え?」
「あ、あの実は……。ネズミーランドのチケットくれるって言われて……、来月から夕日新聞を新しく……」
「はあぁ?」
案の定、さっきまでの珍しく優しげな顔はどこへやら。
たちまち般若と化す彰人さんの顔。
「しかもホテル宿泊券付きだっていうからっ」
「バカかっ、長い目で見たらチケット買った方が安いだろうが!それに都内に住んでてホテルなんて使わねぇだろっ」
「だってネズミーのホテル泊まってみたかったんだもんっ!」
そう、目の前の誘惑に負けて契約してしまったのだ。
そんな私に心底呆れたような彰人さん、はぁとため息をついて頬杖をついた。
「やっぱしばらく帰ってくるな。水嶋、こいつのこと頼めるか?」
「マジっすか!じゃ、るりるり一緒に帰ろうっ」
「なんでーっ。彰人さんさっきダメだって言ったじゃん!よその男の部屋になんか泊まらせないって!」
「そこまで言ってねぇよ」