トモヒーとアイツの何日間(3)
「ここだ」
ハッシュが言い、チャイムを押した。
チャイムの無機質な電子音楽が部屋に響く。

703号室。
表札にはピンクの丸文字でレイアウトされた『吉田』とあり。
小学生くらいが乗っていそうなマウンテンバイクが、マンションの廊下に位置する窓の下に立て掛けるように置かれていた。
マウンテンバイクの横に置いてある子供用のバットと同様、置かれてから随分経つようだ。
家族で住んでいたのだろうか?

「はぁ?なにー?」
小学生くらいの声変わりをしていない男の子の声がした。
「ハッシュだよー。」
ハッシュが子どもにもハッシュと名乗ることにびっくりしたが。
「ハッシュー?・・・。」
しばらく小学生くらいの男の子が沈黙したあと、不意に鍵の開く音がした。


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