金木犀の手紙
「こんにちは、かわいい子ども達。今日は何のご用?」
肩までの髪をひとつに括ったその人は柔らかい笑顔で言うとふたりにそれぞれ椅子をすすめます。
「あのね、このおみせからいいにおいがしたのー」
「したのー」
男の子の後に女の子が言うとお店の人は楽しそうに笑いました。
「いい匂いのものは……これかな?」
そう言ってお店の人はふかふかに焼いたばかりのパンをふたりに渡します。
「おいしそう!」
「そう!」
ふかふかのパンはふたりがお弁当も食べずに歩いていたことを思い出させました。