カレとカノジョの関係。
「どうしたの?」
息をきらすあたしを、神谷くんが少し心配そうに見下ろす。
「あ、あの…まだお礼、言ってなかったから。
さっきはありがとう!すごく、助かりました…!」
「あぁ、そんなこと。
別にいいよ。俺、数学だけは得意なんだ」
…それは嘘だ。
神谷くん、入学式で新入生代表挨拶してたもん。
それはつまり、入試の点数が学年で一番だったってこと。
「あの、何か奢るよ!
今日購買なんだよね?パン?お弁当?」
「はは、いいよそんなの。
それに…高倉さん手ぶらだし」
「…えっ!?」
あー、やってしまった!
見事に何も持ってないあたしの両手。
お財布くらい持ってくるんだったよ…!
「取りに戻っ…」
「いいから、ほんとに。気にしないで」
クルッと振り向いたあたしの腕を、神谷くんがやんわりつかむ。
そして、そのまま一歩近づくと
「…なんか、可愛いね。高倉さんて」
あたしの頭にポンッと左手をのせて、優しい笑みと共にそんなことを言った。
…ええ!?