カレとカノジョの関係。
☆一誠
…おかしいな、どこ行ったんだ。
昼休みになったばかりの教室。
俺は矢野の姿を探していた。
「どーせ矢野、だろ?」
そんな俺に柏木が声をかけてくる。
「アイツなら昼休みに入ってすぐに教室出てったよ」
「マジか。どこ行ったんだろ」
「さぁ?学食じゃねー?」
柏木は興味なさそうにそんなことを言ってから
「…やっぱ答えは変わんないわけ?」
「…変わるわけねーじゃん」
「あそ」
やれやれ、と柏木はため息をついてから
「あ、矢野来たぞ」
俺の後ろを顎で示した。
振り向くと、そこにはちょうど教室に入ってきた矢野の姿…。
「行ってくるわ」
「お手柔らかにな」
柏木はそう言うと学食行ってくる、と教室を出て行った。
「…矢野」
俺はそんな柏木の背中を見送って、自分の席に着いた矢野に近づく。
矢野と話すのは、あの日。矢野に告白されて、そしてその直後に引っ叩かれた日以来。
正直かなり気まずい…だけど、言う。言わなきゃいけない。
「ちょっと話があるんだけど、いい?放課後とか、時間作ってもらいたいんだけど」
ゆっくり顔をあげた顔は、ちょっとだけ笑った…ように見えた。
「…いいよ。今聞く」