カレとカノジョの関係。





矢野につれてこられたのは屋上。




っていうか屋上って勝手に入れるんだ…知らなかった。


他にもそういう生徒は多いのかもしれない。





屋上にはいくつかのカップルがイチャついてるだけで、しかも完璧に自分たちの世界に入ってるから、誰も俺たちを気にする者はいないみたいだった。




「…話聞くよ」




ゆっくり振り向いた矢野が言った。

フワリと吹いた風に、矢野の髪が柔らかくなびく。





「…あの、さ。こないだの、ことだけど…」




何度か告白されたこともあるし、断ったこともある。



でも、その度に、チクリとした胸の痛みが俺を襲う。



自分自身、想いが受け取ってもらえないことの辛さを知っているから…尚更だ。






「矢野の気持ちには応えられない…ごめん。
矢野のことはバイトも一緒だし、大事な仲間だと思ってる。

でも、やっぱり俺は…アイツのことが諦められない」





何度も諦めようと思ったし、もうこんな想いやめたいと思った。





でも、分かった。それは無理。絶対無理。



俺はたぶんどうしたって希咲が好きで。
いつになったってアイツばっかり見てるんだろう。



…だから決めた。こうなったらとことん、追いかけてやる。







「振り向かないなら振り向かせる。


俺は…決めた。諦めないって」











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