カレとカノジョの関係。
放課後。
柏木に睨まれながらも急いで学校を出た俺は、駅前のショッピングセンターに向かった。
目的は3Fにあるジュエリーショップ。
もちろん、自分の為に何か買うわけじゃない。キラキラピカピカしたものが大好きな柏木じゃあるまいし。
ここに来たのは、来月10日。
…希咲の、誕生日プレゼントを買う為。
―――あれはそう。つい、半年ほど前のこと。
中学卒業を間近に控えた俺たちは、クラス担任へのプレゼントを買う為、ここに来ていた。
俺たちは中2・3と同じクラスで(希咲には本気で嫌がられていた)当時(ノリで)委員長をやっていた俺が、代表して担任へのプレゼントを見てくることになった。
で、俺は委員長命令として希咲も無理矢理同行させた。
まぁ単純に、希咲とどっか出かけたかっただけなんだけど。
で、ジュエリーショップの前を通りかかった時…
『ねーこれは?このネックレス!超かわいくない!?』
突然希咲が窓ガラスにビタッと張り付いて言った。
『えー、ネックレスって…確かに伊藤先生は好きそうだけど』
当時、俺たちの担任は伊藤先生っていう若い女の先生で、美人だったしオシャレとかも好きそうだった。
『じゃーこれにしようよ~!あたしだったらこれがいい!これ欲しい!』
俺より勉強は一応できるはずなのに、バカなことを言い出す希咲。
『バカ言うなよ、バカ!予算外すぎだろネックレスとか。お前値札読めねーの?』
『…そこまで言わなくてもいいじゃん!大体一誠にだけはバカとか言われたくない。こないだの漢字のテストだって2点だったくせに…』
『ばっ、漢字のテスト今関係ねーだろ!』
…みたいな感じで、その時は終わったんだけど。
…その時ふと思ったんだ。
このネックレス、希咲に似合いそーだなって…。