カレとカノジョの関係。




動揺しまくる俺に、クスッと矢野が笑う。



「その反応は当たり?」



「…い、いや…」



「あんまり確信はなかったんだけど。
でも湊くん、明らかに本屋には用なさそうだし。

じゃぁ何でそんな嘘つくのかって考えたら、やっぱり希咲ちゃん関連なのかなって」



「……」




矢野の名推理に、俺はただただ黙るしかない。



…こいつ、天才か…。




「別に天才とかじゃなくて、湊くんが分かりやすいだけだから」




…とことん俺の思考は矢野にダダ漏れらしい。





「…別に秘密にしなくてもいいのに」




雑誌を棚に戻しながらそんなことを言う矢野。




「だ、だって…なんか恥ずかしいだろ」



「なんで?まぁ、羨ましいとは思うけど」




そして真っ直ぐに俺を見つめた。



絶対にブレない。射るような視線。





…そういえば矢野、言ってたよな。“ならあたしも諦めない”って。




…でも、いくら想ってもらえても、俺は…







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