カレとカノジョの関係。
えぇ…あたしが…貼るの?
チッチッチ、と響く時計の秒針。
目の前には、上半身裸の、一誠の背中。
「…おい、早くしろよ?」
「あ、ご…ごめん」
痺れを切らしたように、シップを手に立ち尽くすあたしに一誠が声をかけた。
覚悟を決め、一歩近づく。
…って、あたし何こんなに緊張してんだろ。
たかがシップを貼るだけなのに…
なんか、目の前の一誠の背中がやけに、大きく見えて。
ふと、さっき抱き締められた時の感覚を思い出す。
一誠の胸の中は、思ったより固くて、なんだかゴツゴツしていた。
小さい頃の一誠は…もっとフニャフニャしてて、柔らかかった記憶があるのに、いつの間に…
って
何考えてんのあたしー!
しかも抱き締められたんじゃなくて!とっさにボールから庇う為にそうしてくれただけだし!結果としてそうなっただけだし!
だから断じて、抱き締められたとか、そういう「おい早くしろよ」
「…すみません」
冷静な一誠の声に、あたしの思考の暴走はようやく止まった。