一人になるということ
もっと…早く来るべきだった…
そこにはいつもの綺麗な部屋は微塵もなく、暴れた後がくっきり残っている…
そして…なんの薬だろうか…
そこらへんに散らばっている…
未月は………………
暗い部屋の端でずっと何かを言っている…
「………みつ………」
未月は俺の存在には気付いていない
「なあ!未月っ…!!!!お前っ!どうしちゃったんだよ!?」
未月はゆっくりこっちに顔を向けた
「っ……………」
顔は…痩せこけていて、目は充血している、
「あぁ、小野寺か、ほら、見てくれよ、詩が帰って来たんだ…はははっ」
「詩が………?」
「ほら、見てくれよ、ちゃんとここにいるだろう?」
俺はそこに目を向けた…だが、そこには何もない…
「俺には……何も見えないよ…」
「ここにいるじゃないか、なあ、詩?はははっ、詩は可愛いね、」
未月は虚ろな目で何もない空間に話しかけている
こんなになるまで……お前は恋羽が好きだったんだな…
俺の目からは涙が出ていた
俺は未月の肩を掴んで俺の方へ向かせた
「なあ、しっかりしてくれよ、そこには恋羽はいないんだ…」
涙は止まらない…だけど、伝えなければ…
「お前が恋羽をどれだけ好き だったかわかるよ!こんなにボロボロになって……っ…」
「目を逸らすな!現実を見ろ!いつか恋羽がこんなお前を見たら悲しむだろっ…」
「詩が…悲しむ…?」
未月がやっとこっちを向いた
「そうだ!今お前に出来ることはなんだ!恋羽が帰って来るのを待つことだろ!?なのになんで……っなんでこんなんになってんだよ!」
俺はもう泣き叫ぶように訴えていた
「詩を待つ…」
「恋羽はいつかきっと帰ってくる!お前は笑顔で恋羽を迎えるんだろ!?」
「そう、だな……小野寺…ごめんな…」
未月もまた、泣いていた…
目にはいつもの綺麗な輝きが戻っていた
俺は涙を拭った
泣いてるのは俺らしくないからなっ!
「未月!どーせ何も食ってないんだろ?コンビニで買って来てやったからとにかく食え!!!!」
「おう、サンキューな」
それから2人で昼飯を食べた後、荒れた部屋を掃除して元の部屋に戻した