スイートピー
薄気味悪い僕
僕が廊下を歩くと、高い確率で女子が避けていく。
避けられるならまだいい。
すれ違うときに「キモーい」って声が聞こえることもしばしば。
お前ら。小声で言ったつもりだろうけど、聞こえてるぞ。
「1組の滝口亮っているじゃん。あいつオバケっぽくね?」
ずいぶん失敬だな。だから聞こえてるってば、。
せめて、姿が見えなくなってから言ってくれよ普通に傷つくだろうが。
言えないけど。
まあ。でも、ちょっと慣れたかな。
というか、慣れたふりができるようになったといった方が正しいのかな。
高校生になって、早くも2回目の春。
最近やたら明るくなった日差しは、逆に僕の陰鬱な雰囲気を際立たせる。
もう、去年の春のようなワクワク感や、希望に胸を踊らせるなんて素敵な感情は沸き上がってこない。
高校に入って環境が変われば、楽しいことがいっぱい…なんて思うのは甘い考えだったと気づいたのは、入学してわわずか1ヶ月目のことだった。
嫌われるヤツは、どこにいても嫌われる。
ただ、中学生のときみたいに、上履きを隠されたり、通路で足をひっかけられたり、体育の時間「キモ野郎のくせになんで、運動神経いいんだよ」といきなり殴られるなんて理不尽なことがなくなっただけでも、ヨシとしよう。
とりあえず、話し相手はできた。
たった数人だけど。
彼らの存在のおかけで、面白くない出来事があったとしても、絶望的にはならなくて済んでいる。
僕は、今日もこの中途半端な孤独感を抱きながら学校で1日を過ごす。