スイートピー


クラスに居てもイライラするだけだ。

3組い行って、田中に構ってもらおう。

僕は3組へ行き、教室の前に立つ。

そのタイミングで勢いよく戸が開いた。

「きゃ。」

僕の目の前で、女子が思い切り目を丸くしていた。

「あ…いやあの…。」

思わずオドオトしてしまい、俯く。

僕の頭上から、女子が声をかけた。

「どしたの?誰か探してる?」

明るくおっとりとした声だ。

なのに、なぜ僕は緊張してしまうんだ。

「たなっ…あ。田中に用があってっ…そっその…。」

キモい。

吃って噛み噛みの自分がキモい。

しかし、僕の中のぐちゃぐちゃな焦りに気づく素振りもなく、変わらずおっとりとした声が耳に入る。

「あれぇ?なんかいないっぽい。」

優しい口調に少し安心してきた。

「だいたい行きそうなとこ解るから、行ってみるよ。」

緊張が解けて顔を上げた僕に、女子は満面の笑みを浮かべた。

「田中君てさあ。ダンスやってんの?いつも練習してるよね。」

違う。それオタ芸っていうんだ。

「なんだろうね。あはは。変わった動きだよね。じゃ。ありがとう。」

そそくさと、その場を去ろうとした。

女子は、ニコニコと小さく手を振ってくれた。

なんだか、アイドルみたいな子だったぞ。

えっと、なんてグループだっけ。選挙がどうたらってあのアイドルグループに居そうなんだよ。

田中に聞いてみよう。

長沢さん以外にも、僕に優しくしてくれる女子がいたなんて。

学校生活もたまにはいいことあるんだな。

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