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絶対に反対されるって、それで入院させられるって思っていたから、思わず拍子抜けしてしまう。

「条件て…?」

「①毎日診察は受ける

②場合によっては俺の判断で途中でも中止する

③終わったらすぐに入院する」

あたしのわがままにここまで付き合ってくれるお医者さんは滅多にいないだろう。

それだけにとても嬉しくて、さっきまでのモヤモヤが浄化されていく気がした。

「分かった、約束する…!」

「あと、これ“プレゼント”。帰ったらすぐ付けるからね」

と、さもイヤリングやネックレスのように自然な流れで渡されたそれは 心電図のホルターだった…

たまにカブれるから嫌なんだよね~なんて言えるわけもなく素直に受け取る。

「あの人のブランドてのが気に入らないけどねー」

甲ちゃんは苦笑いしていたけど、以前のような父親への激しい恨みはもう感じられなかった。

「頑張っておいで、絹ならいいモデルが務まるよ。俺達の“自慢の妹”なんだから…」
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