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毎年、聴診をした先生の顔が険しくなることにも

持病がないか念入りに確認されることにも今ではすっかり慣れてしまっていた。

「あやちゃん、見なかったことにして!」

「そんなこと、できるわけないでしょ?第一あなたの身体が」

私達より少しだけお姉さんの先生“あやちゃん”は全力で説得を試みる。

ドラマの影響で教師を目指したと言っていただけあって、かなりの熱血漢。だけど

「知ってるからいいよ… あとはパパに会える日を待つだけだから」

パパ、桐柳 恒輔(キリュウ コウスケ)はあたしが三才の時にはもういなかった。

事故だったということ以外、何も知らない。

どんな人だったのか、どんな声をして笑っていたのか、幼いあたしにどう接してくれていたのか…

何も知らないし、何も覚えていない。

あやちゃんは悲しい顔をするだけで、それ以上は何も言わなかった。
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