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人の病室を図書館代わりに使う訪問者が余計なことを口走るから、

あたしは頭の中も心の中も乱れまくりだ。

「貴のバカ…」

「あ゙ぁ?」

聞こえていたらしい。

「ねぇ、屋上に行きたい…」

一刻も早く新鮮な空気でも吸ってクールダウンせねば。

「さっきまでグッタリしてた奴はダメ」

このところ、貴はやたら厳しい。

心配症と言うか、優しさの裏返しと言うか… 何だかママみたいだ。

その点 甲ちゃんはネジが抜け落ちてるけど、考えに柔軟性がある。

でもさすがに検査後は反対するだろうな…

「貴と一緒ならいいんだもん」

入院前する前にした約束が病院内で有効かどうかは謎だけど、一人よりはずっと心強い。

「何かあっても知らねーからな?」

…そもそもの原因は貴方達兄弟ですよ?

貴の手を借りて長い廊下を歩いていく。

体力がないからか貧血だからか、ほんの少しの距離でもとてつもなく長く感じる。

甲ちゃんとお散歩した時みたいに車椅子にすれば良かったかも。

…後悔先に立たず。

エレベーターまであと少しという曲がり角で、向こう側から聞こえてくる話し声に耳を奪われる。
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