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不運にもあたし達と秦ちゃんは同じ駅で降りる。

その間ずっと重たい空気が張り詰めている…。

沈黙を破ったのは秦ちゃんだった。

「君、かっこいいね。てっきり絹香のイケメンな彼氏かと思ったよ」

あたしを挟んで、向こう側の貴に声をかける。

「彼氏どころか、ただの知り合いなんで…」

どんだけ知り合い押しするのよ?!

「なら、俺がもらってもいい?」

え?一瞬耳を疑った。

「俺が決めることじゃないのでご自由に」

「じゃあ、遠慮なく」

どんどん進んでいく彼らの話に あたしは少しも口を挟む余裕がない。

「今日、どっか行くか。絹香は何時に学校終わる?」

「バカらしー… 先行くわ」

しびれを切らしたのか貴が先に降りる。

あたしはその背中に咄嗟に叫んだ。

「貴!あたし一人で大丈夫だから!ママになんて言われても一人でいいからねっ!」

「…勝手にしろよ。こっちも子守に付き合う程、暇じゃねーんだよ」

これでいいんだ、これで…
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