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「意外と近くで見えるんだなー、さすがは織依さん情報」

しゃがみこんであたしと同じ目線で花火を見る甲ちゃん。

そういえばラジオで花火特集するって言っていたけど、ここから見える花火も探してくれていたとは。

相変わらずママの仕事は抜かりがない。

「甲ちゃん、さっき何か言いかけてなかった?」

「そうそう!絹 手、出して」

訳がわからず、左手を前に差し出す。

「逆。左手は本命に取っておきなさい」

そう言いながらあたしの右手の薬指にはめたのは、あの時の指輪だった。

「…?!」

これ、椎名先生とジュエリーショップで選んだって噂の、椎名先生チョイスの…

あんなにも気にかけていた指輪がまさか自分の指にはめられるだなんて思ってもみなくて頭が混乱してしまう。

「これ、恒兄の形見なんだ。絹はパパの形見、何も持ってなかっただろうて織依さんがね」

後で分かったことだが、パパの荷物置き場兼物置になっている一部屋を

甲ちゃんの部屋にする為に整理していたら、それが出てきたらしい。

ママの合意を得てから、あたしのサイズに作り直してくれた…

のだけれど、そのジュエリーショップを紹介してくれたのが椎名先生と言う訳だ。
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