sEcrEt lovEr
「パパの指輪…?」

ママは今まであまりパパのことは話してくれなかった。

それは十年以上経った今でもやっぱり思い出すのが苦しいから。

でも入院してから明らかになったパパの素顔や事故の真相に、

一緒に過ごした時間は短かったし、身体も弱いけれどパパの娘として生まれてきたことが誇らしく思える。

「…これ、ギリギリまではめていてもいい?」

「もちろん。どんな御守より絹を守ってくれるよ」

指輪がはめられた薬指が何だか重たく、そして温かく感じる。

目には見えなくてもパパが傍にいてくれる、そんな気がする。

「甲ちゃん…」

「ん?」

「ありがとう」

貴重な高校生の夏休みは殆どが病院のベッドでだったけれど、

人生で"二度目の恋愛”ができました。

もっと生きたいって思えました…
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