sEcrEt lovEr
「…おはよ」

ベッドサイドの椅子で読み物をしていた甲ちゃんと目が合う。

窓の外は暗闇のカーテンで覆われ、気がつくとかなりの時間眠っていたらしい。

にも関わらず体調はすこぶる悪さだ。

酸素マスクも邪魔で声も出しにくい。

「オペの時間までまだあるから寝てていいよ?

みんなは明日の朝来るって」

「こぉ ちゃんは…?」

あたしは寝てるだけだからいいけれど、甲ちゃんは長時間立ちっぱなしで体力勝負だよね?

「仮眠室争奪戦に負けたから適当に…」

「…」

返す言葉がない。執刀医の扱い、雑…

しかし当の本人は気にとめることもなく、優しい顔つきであたしの髪を撫でる。
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