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彼らの場合 祖父と孫というよりかは、主従関係と言った方が相応しい。

それくらい冷たく、そして重たい空気が流れる。

老人は目線を書物に向けたまま、そこに座るように彼を促す。

彼もまた目線を合わせずに何ですか?と尋ねる。

「Never meet her again」
(二度とあの娘には会うな)

自分の立場をわきまえろ、友情や恋愛にうつつを抜かすな…

聞かなくても 何を言われるかは経験上、大方の予想がついていた。

いつもの如く、分かりましたとだけ伝え 少年は部屋を後にする。

しかし、今まで従順だった“クローン”が後に自分を更に裏切ることになろうとは

この時の老人には思いもよらないことだろう…
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