sEcrEt lovEr
「さっきそのパパの手帳を見ちゃったんだけど、ここに書かれているのって君のことじゃない?」

濃いブラウンの革のそれは紛れもなくパパの手帳…

引っ越しを機にママはパパの遺品を思いきって色々処分したらしいが、

それでも捨てきれない物は段ボールに入れて物置に置いてあった。

でも何でそれを兄が?

「色んな治療法が書き込まれている。まだ可能性はあるってことでしょ?」

そこにはほとんど初めて見るパパの字が何ページにも渡って書き込まれているが、どれも英語であたしには解読ができない。

ただ あたしのこと考えながらペンを走らせていたのかと思うと急にパパが愛おしくなった。

でも手帳には鍵がかかっていなかった?

何でこの走り書きがあたしのことって分かったの?

あたしがその違和感に気がついたのはもう少し後のことだった。
< 21 / 233 >

この作品をシェア

pagetop