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甲ちゃんが向かった先を見ながら貴がぼそりと呟く。

「…あんなこと言っときながら、奴なら二、三日忘れてるパターンだぞ?」

ありうる… 甲ちゃんだから。

「そういえば貴もお医者さんになるの?だからT大医学部なの?」

あたしはずっと気にかかっていた事をぶつけてみた。

いつか読んでいた参考書に書かれていた大学… それはエスカレーターの稜南でもなく、

全国でもトップクラスの大学で、しかも医学部。

「あ~、あれな。記念受験てヤツ?」

記念受験に選ぶような所じゃないよ!

あたしは貴や甲ちゃんみたいに勉強はできないけど、そのくらいは分かる。

「俺、卒業後は留学考えてたんだ。

今んとこ夢や目標はないけど、何か変わるきっかけが欲しくてさ…

でも何もかも中途半端だし、全てにおいて な~んとなくでしか生きてないって、

たまには何かに全力で挑めって悠耶サンに言われて。

それで留学の条件がココの合格証明書っつーわけ」
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