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みんなとはここでお別れ…

同居のことがなかったら、今頃あたしはブルーな気持ちを抱えたまま独り戦っていたのかな、

いや そもそも新しい家族のこと、自分の命のこと全てにおいて

否定的だったから手術を受けようとすら思わなかったかもしれない。

「アレが医者て世も末だよな…」

目の前に立ちはだかった扉を見つめながら貴がぽつりと呟く。

「何で一緒に暮らさなきゃいけないの!家族なんてもういらない!」

「はぁ?それはこっちの台詞だ、クソガキ!」

「ガキって… 年変わらないじゃない!数年早く生まれただけで先輩ぶらないでよ!」

「数年早く生まれたから先輩なんだろ…?アホか、お前は」

この生活が始まったあの日、あたしは貴と衝突した。

親戚でもない、ただ親同士が親友てだけの赤の他人と慣れ親しんだ環境を変えてまで一緒に住む必要があるの?

毎日不満やストレスばかりが溜まっていった。

でも きっと貴もそうだったんだよね?
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