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“お兄ちゃん達”とは何度もぶつかって、何度もイライラしたけれど 結局最後はいつも我が儘な“妹”の一人勝ち。

キライだったはずのこの人達といつの間にか、まだ一緒にいたいと思うようになっていた

あたしは我ながら都合が良すぎると思う。

「貴…」

あたしはこっそり持ってきた封筒を貴に渡す。

「ラブレターとか今更いいから」

わざとニヤリとしてみせる貴。

分かってるくせに!

「違う! …もしもだよ?もしも何かあったら 開けて」

それを聞いたママ達が眉をしかめる。

言いたいことは分かってるの。

分かってるけど… ごめんね。

「…んな縁起の悪いもん、託すなよ!お前が戻ってきたら即シュレッダーにかけるからな」

「うん、そうして」

心配性すぎるあたしの最後の、最後の“保険”

けして開けられる日がきませんように。

「…終わるまで待ってるからな」

ありがとうだけ伝えると、あたしは扉の奥へと進んだ。
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