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「お前さ、和英辞典持ってる?」

何事もなかったかのように話かけてくる貴。

見られたくなかった、こんな無様な格好…

知られたくなかった、虐められているなんて…

その間も女の子達からは冷たい視線を浴びる。

「おい、ここ何日か随分無視してくれてんじゃねーか?」

空気読めないの? お願いだから、今は声かけないで…!

「何であたしに構うんですか、“先輩”」

「は?お前いつも俺の事名前で」

「知りません、呼んでません!!」

…最低。

「ここで話しにくいなら家でゆっくり」

「それはダメ!貴だってあたしと一緒なの嫌がってたのに今更何で!?」

あたしは熱くなり 自分が“貴”と呼んでいることには気が付かない。

「そりゃあ、恥ずかしいじゃん?お前を溺愛している所見られたらさ」

「溺愛ぃ?いつも意地悪ばっかじゃないっ!

録画してたドラマ消しちゃうし、聞く前にピザにタバスコかけちゃうし!」

一瞬にして内輪の喧嘩と化し、女の子達はすっかり蚊帳の外だ…
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