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駅に着くと思いのほか、人混みがすごかった。

「絹、大丈夫?」

「うんっ!」

常にあたしのことを気にかけてくれる。

持つべきものは女友達だなって改めて実感する。

改札を出て暫く歩くと、若い女の子達に人気のファッションビルが顔を出す。

でも 何だか様子がおかしい。

何で外にあんな人だかりが出来てるわけ?

芸能人の人でも来てるのかな?

「ねぇ、誰か有名人でも来てるんじゃない?」

みんな考えてることは一緒だったらしく、女の子達のキイロイ声のする方に足をすすめる。

そこにはビルと同じくらい大きいポスターが張られている最中だった。

モノクロのポスターに写るモデルは布?を頭から被り、鋭い目でこっちを睨んでいた。

伸ばした手には血文字で『coming soon』と書かれている。

女の子達は携帯を取り出して写メを撮ったり、口々に話をしたり。

とにかくみんな興奮状態には変わりない。

「ジャ○ーズでしょ?」

「え~、モデルの△△じゃね?」

いや、違う…

友達も気がついたらしく耳元でそっと呟く。

「絹、アレ 貴弘先輩に似てない?」

似てるけど、貴じゃない。




…甲ちゃんだ。
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