sEcrEt lovEr
貴も甲ちゃんも容姿が整っているし、芸能界にいても引けを取らないと、あたしは思う。

でもモデルをやっていたなんて話は聞いたことがない。

第一、スナップ撮影を頼まれた時も二人とも頑なに断ってたじゃない?

甲ちゃんは仕事中かもしれないから、貴にポスターのことをメールで伝えることにした。

もちろん、問題のポスターの写メも添付して。

程なくして、折り返しの電話がかかってきた。

『お前、今どこにいるの?つーか、何だよ この写メ』

電話越しに貴の苛立ちが伝わってくる。

「駅ビルにどーんと張ってあったの!女の子たちがキャーて言ってたから、それで」

『…落ち着けよ』

焦っていたのは、あたしの方らしい。

『それ、何のポスターか分かるか?ブランド名とか書いてね?』

「えーっと… GBて書いてある」

『…間違いない、兄貴だ。あいつには俺から伝えておくから、お前は早く帰ってこいよ』

分かったとだけ伝えて電話を切った。

「もしかして今の貴弘先輩?」

女子はこういう時、鼻がきく。

本当に不思議だ。

「うん。でもやっぱり違うって…」

さすがに甲ちゃんのことは伏せておくことにした。
< 68 / 233 >

この作品をシェア

pagetop