わがまま女を愛して/頑張り男を見つめて




「どうしたの?」



声を聞くだけでも逃げたくなる



そんな気持ちを抑えて





久しぶり




勇気を振り絞って言えた言葉だった




あなたは少し笑っていた



心の余裕があるあなたに少し嫌な気持ちを覚えてしまう



しかしあなたはかばんから何かを取り出した




「これ、最後に会った時に渡せなかったやつ」



あなたは私に何かを差し出した




それは



私が好きな漫画本だった



最後に会った時はあなたの誕生日



なのになんで……




「わざわざ買ってきたんだよ
これを渡したかっただけ
んじゃ俺帰るから」




待って



私はあなたを呼び止めた



なんで偶然会ったのに持ってたの?



それはまたあなたを理解出来てない発言だった



「お前にいつでも渡せるように
いつも持ち歩いてるからだよ」




あなたは今でも私を1番に考えてくれていた



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