社内恋愛なんて
楽しみな気持ちが、どんどん膨れ上がっていく。


いつしか嫌なことも忘れて笑顔が零れていた。


「ここでいいかな。目を開けて」


 守の優しい声に促されて目を開けると、想像していた以上の絶景が広がっていた。


まるで空と地上が反対になったみたいに、真下に光り輝く星々みたいな建物の灯り。


寒い夜のおかげで、遠くまで夜景が見渡せた。


「綺麗……」


 本当に、あんまりにも綺麗すぎて泣きそうになった。


こんな素敵なところに、大好きな人と一緒に見に来られて幸せだった。


「ありがとう、守」


 私は守の肩に耳をくっつけながら言った。


山頂には私と守しかいない。


胸がいっぱいで、寒いことなんて忘れるくらい心がぽかぽかしていた。


「なあ、みあ。真剣に聞いてくれる?」


「急になあに?」


 私は顔を上げて、守の目を見つめた。


守は慈(いつく)しむような瞳で、私を見下ろした。


「結婚しよう、みあ」


「え?」


 さらりと言われて、私は世界が止まったかのように感じた。
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