社内恋愛なんて
直球すぎる告白に、目の前がくらくらとした。


部長がこんなに、熱く愛の言葉を投げかけるなんて。


意外すぎるギャップに、ときめきすぎて倒れそうだ。


「返事はいらない。今もらっても、断られることは分かっているからな。俺と付き合うという了承の返事以外は受け取らない」


 なんて俺様発言!


これもまた意外すぎる言動に、もはや心拍数は上がっているのか止まっているのか分からないくらい動揺していた。


 言葉が見つからずに目を泳がせている私に対して、部長は余裕ある笑みを浮かべた。


「気をつけて帰れよ」


 逃げ道を用意してくれたことに感謝をするべきなのだろうか。


私は、お先に失礼しますの言葉さえも言えずに、勢いよく頭を下げて自動扉に突進していった。


扉が開くのが遅くて、あやうくぶつかりそうになりながらも、すぐに開いたエレベーターに乗り込んだ。


 エレベーターの扉が閉まり、下降していくと、私はようやく息を吐き出すことができた。


危うく酸欠になるところだったかもしれない。


私は、壁に背をもたれかけながら、大きく深呼吸した。
< 105 / 359 >

この作品をシェア

pagetop