社内恋愛なんて
「久しぶりだね。お疲れ様。お腹空いてない? いっぱいご飯作ったんだ」


「まじか。サンキュー。腹ぺこぺこ」


 私は守に笑顔を向けてから、晩御飯を温めるためにキッチンへと小走りで向かった。


それから二人でご飯を食べながら他愛のない話に花を咲かせる。


 最近あまり話せていなかったから、話したいことがたくさんある。


その多くは結婚式のこと。


誰を呼ぶかとか、どの会場にするかとか、お色直しは何回するかとか……。


「あのね、相談したいことがあるんだけど……」


「なに?」


 夢中になりながらご飯を食べていた顔を上げ、私の顔を見つめた。


「結婚式のこと。私、色々調べたんだけどね……」


 そう言って、マガジンラックに並べられた数冊の結婚情報誌を指さすと、守はほんの少し顔を歪めた。


「あっ、疲れてるならいいの。今すぐ聞いてほしいわけじゃないから」


「いや、大丈夫。ご飯食べたら一緒に見ようか」
< 112 / 359 >

この作品をシェア

pagetop