社内恋愛なんて
でも、どうして部長は、私にキスなんてしたんだろう。


しかも、突然に。


考えても考えても、理由は分からなかった。


ただ、一つだけはっきりしているのは、明日も部長に会うということ。


それも、当たり前だけど、会社で。


何事もなかったかのように振る舞わなきゃいけないし、仕事もしなきゃいけない。


こんな気持ちのまま仕事なんかできそうにない。


それでも明日は来るし、仕事は待ってくれない。


こんなに会社に行くのが憂鬱になったのは、三年ぶりかもしれない。


思い出すと、今でもずきりと胸が痛む。


でも、三年前の憂鬱さとは少し違う。


部長に会うのは気まずいけれど、嫌ではない。


会えることが、どこか嬉しい気持ちもある。


それでも社内恋愛なんて、したいとは絶対思わないけれど。

< 14 / 359 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop